巨人の肩の上に登る

先人の積み重ねた発見に基づいて、なにかを発見しようとすることを指す。

【書評】勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」


梅原大吾は、17歳にして世界一になり、日本人初の”プロ・ゲーマー”となった人物で、「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」としてギネスにも認定されている。

そんな彼の、勝ち続けるための哲学が書かれた本書。その哲学はゲームだけに留まらず、ある程度普遍的なものであると感じられます。文章も読み易く、新書なので気軽にサクっと読めました。

最近だと、ウメハラの少年期を描いたWEBマンガウメハラ To live is to game 」が話題になりました。


親が子どもの好きなことを理解できる確率は低い

時代は移り変わっていくので、親が子どもの好きなことを理解できる確率は低いと思う。将来、僕が親になり、子どもが何かに夢中になり、それが僕の認めるものである可能性は低い気がする。

梅原の父さんは、自身の幼少期の経験から、「息子の好きになったものには一切口を出さない」というポリシーを貫いている。だからこそ、ゲームというものに全力で取り組むことができたのだと思う。一方で、好きになった対象が勉強やスポーツではなく、ゲームであったために、葛藤があり、梅原の父さんも梅原さん自身も、苦悩している。


便利で簡単な戦法を選んでしまうと、確実に成長が止まってしまう

便利で簡単な戦法を選んでしまうと、確実に成長が止まってしまう。それは間違いない。それでは10の強さは手にできるが、そこが行き止まりだ(10とは一般的な努力で到達できる最高点ということだ)。僕は10の人間に勝つために頑張っている。そんな僕が10では意味がない。だから、時間がかかっても、バカにされても、11、12、13の強さを目指す。

Web開発にしろ、アルゴリズムの実装にしろ、ソフトウェアの世界でも言えることのように思います。何かを実装する上で、既存の確立された10点の方法(ライブラリだったり、フレームワークだったり)と、11、12、13を目指した時間のかかる方法(それらを自分で作り上げる)がある。

多くの場合で、10点の方法をとることが合理的ではあるが、そればかりでは突出することができない。だからこそ、長い時間と努力で11、12、13点を目指さなければならない。時間の制約もある中で、いずれの道を選択するのか、常に悩ましい。


自分自身と向き合うこと

若い子が、人の目を気にして自分のやりたいことができないというのは、限りなく不幸だと思う。


10年継続できる努力

大会で結果ばかり求めていたときは、何日か休みたいと思った。
しばらく休んで、また立ち上がって努力する感じだった。しかし、そういうサイクルで過ごしていたら、頑張ることが次第に苦痛になってきたのだ。
だから、適度な頑張りを続けて毎日を心地よく過ごすことが大事なのである。人生に区切りを求めるのではなく、継続する。


全盛期はいま、そして未来

喜劇王であるチャールズ・チャップリンは、あるインタビューで、
「あなたはいままでたくさんの劇を作ってこられましたが、自分のいままでのなかで最高傑作はどれか、と聞かれたらなんて答えます?」という質問に対し、
”Next One. (次回作だよ)”と答えた。


若いうちから失敗したほうがいいだけ

もちろん、年を取ったら失敗できないなんてことはない。若いうちに失敗した方がいいのではなく、若いうちから失敗したほうがいいだけだ。


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